Tシャツの上からもパーカーの上からでもサラッと羽織れるオーバーサイズの軽量プルオーバーを探していた。オーバーサイズと言っても部分的なオーバーサイズ、レイヤリングするための理にかなった形だ。アウトドアブランドのウェアは身体に沿ったデザインが殆どで、機能性を追求するばかりに適度にゆとりのあるサイズ感は探しても見つからない。かといってファッションブランドのウェアだとギミックが足りない。そういうわけで製作に至った次第である。
まずアクティビティ時に着ることを前提に軽量で脱ぎ着がしやすい、熱を溜め込まないこと。この2つを基本要素としデザインすることにした。ウェアを手にとっていただくとわかると思うがエアリーという言葉がよく似合うプルオーバーとなった。
シルエットは着丈がやや短めのボックスシルエットで身幅と袖幅、特に肩幅を大きめに設定している。濡れてはいけないフリースやダウンの上からも重ねられるサイズ感がありそうでなく、新鮮なのだ。後身丈はヒップを覆えるようフィッシュテールの形にし、ドローコードで裾を絞ることができるように。
名称にもあるフラップは胸部の折り込みのことで、フラップの裏側は目の細かいメッシュ生地に切り替え、熱を溜め込まないようベンチレーションの役割を担っている。
またこの型で特に拘った箇所がボックスシルエットのドロップショルダーを最大限に生かした隠しファスナーだ。プルオーバーと聞くとまず最初に思い浮かぶと思うのが、着脱がしづらいことだが、このプルオーバーは肩のファスナーを開閉することで大きく開き、帽子を着用したままでもウェアの着脱が可能となっている。
袖口はドローコードで裾絞りができるようになってるが通常はストッパーが生地の外側に出て野暮ったくなりがちだ。またこの場合ドローコードを絞った際にコードが長く垂れ下がり、不意に枝に引っかかるなど嫌な思いをしてきた。本プルオーバーのストッパーは特殊なものを用いて生地の内側に隠し、余分なドローコードを収納できるよう配慮している。この仕様を以てアウトドア/アーバンウェア双方として機能すると定義したい。
ロゴは首裏に同系色でさりげなくエンボスプリントを施している。
生地は着用時にストレスの少ない4wayストレッチに撥水加工を施した環境配慮型素材を採用している。