【HYBRID BALACLAVA】NOTES

【HYBRID BALACLAVA】NOTES

これまで幾つものバラクラバを試してきた。しかしどのバラクラバもしっくり来ぬまま、年々所有数だけが増えていく。きっとバラクラバを使う人は皆同じような不満を抱えているだろうと推測する。既存のバラクラバを一枚で被って過ごすには不便な上呼吸がしずらい、何より見た目が良くない。その不満をいずれどこかのブランドが改善するだろうと考えていたが、2025年3月現在いまだに形状及び機能性は変わらぬままだ。

そこで筆者が思い描いているバラクラバの理想を形にしてみることにした。当ブランドからバラクラバをリリースすることでバラクラバに対するイメージの底上げとなり、より使いやすいバラクラバが生まれ、ユーザーの選択肢が増えることを願っている。

まず、世に出回っているバラクラバ全体の課題として挙げられるのが "呼吸がしずらい" こと。また呼気の逃げ場がないことでサングラスが曇る、という現象はユーザーであれば誰もが一度は経験したことだろう。

この課題を解決するために、頭部を覆う部分と顔を覆う部分を大きく2つのパーツ構成とし、頭部のパーツをストレッチ性のあるポリエステル素材、顔を覆う部分のみ薄手の3レイヤーストレッチ素材に切り替えることとした。(透湿度20000g/㎡/24h)着用感を微調整できるよう左右非対称のデザインを採用している。その上で鼻先を立体的に仕立て、呼気を下に逃がせるようにした。この構造は文章では説明しづらいので写真で確認していただきたい。口下から顎にかけてのパーツはメッシュ素材に切り替えている。

メガネやサングラスの着用を想定しブリッジを通す穴を設けている。

次に、バラクラバは基本的にニット素材でタイトな構造(パターン)により、頭からすっぽりと被るので着脱が不便だ。また給水や食事の際はニット素材の特性を活かし鼻と口を覆う部分を顎まで下ろすが、これが非常に不快。これは素材感に依存しているだけなのですぐに生地が伸びて緩くなる。

そこで頭から被るという発想を見直し、帽子を被るような感覚で着用できるよう前面をファスナーで開閉できるようにした。ファスナーは側頭部のうち目の上と耳の上の中間点、こめかみ下付近から開け閉めできるようになっている。

ファスナーの終点(下止)はゴーグルを着用した場合にも干渉しないよう配慮している。

マスク部分の裏地にはライナー(メッシュ)を立体的にあしらい不快感を軽減している。

首から下のフラップ部分はアウターにインしてもアウトしても良いよう絶妙なバランスで仕上げた上、側面を立体的に仕立て首に沿うようなパターンとした。

バラクラバを被らない場合は首に留めておき、ネックウォーマーとしても活用できる。その時の天候状況やシーンによって使い方はユーザーに委ねたい。

バラクラバは顔に直接触れること、また縫製にフラットシーマを用いられることで肌着としての捉え方をすることが多いと思うが、当ブランドのバラクラバはヘッドギアの位置付けとして再定義し、リリースする。

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